上映が終わったあとはお待ちかね、舞台挨拶のお時間です。てっきり司会の方と監督と一対一のお話かと思いきや、舞台の上に椅子が複数運ばれて…主要ロケ地である南伊勢町の小山町長、伊勢志摩観光コンベンション機構(伊勢志摩フイルムコミッション)の会長でもある志摩市の竹内市長、鈴木県知事が監督とともに登壇しました。そのときの内容はこんな感じです↓
南伊勢町で撮影・稲垣吾郎さん主演映画「半世界」地元で特別試写会 阪本順治監督も
ところで、ニュースやSNSで触れられてはいない(と思います)監督の言葉をご紹介してこの項を終わりにしたいと思います。
トークセッションの最後に司会の女性が監督に尋ねました。「ではおしまいに、この試写会をご覧になられた会場のお客様に一言お願いします。」時間も経ってしまって記憶が曖昧なところもあるので、一言一句正確にとはいきませんが、監督はこのようにお答えになりました。
こうやってこの試写会で、スクリーンで映画を観ていただいて、『やっぱり映画っていいな。スクリーンで観るっていいな』と思っていただけたら、どうぞおらが町の映画館へ、その映画館はもしかしたらもう潰れてしまってないのかもしれないですけれど…三重には進富座さんがあります。どうか映画館へ足を運んでいただいて、映画館で、スクリーンで映画をご覧になってください。
監督は「半世界を観てください」とは言いませんでした。「僕の作った映画を観てください」とも言いませんでした。映画館で、スクリーンで、どうか『映画』を観て下さい、と。
すべてが終了すると辺りは真暗で寒くて、慌てて帰途に付きました。あの試写会からずいぶん過ぎましたが時々、何気ない日常生活のなかにふと映画の世界が蘇ってくることがあります。スクリーンの向こう側の世界と、現実とが重なり合うような不思議な一瞬。思い返して、噛み砕いて、あれはもしかしたらああいう意味だったのかなと気がついて。そして、思い出しました。「映画を観るって、きっとこういうこと。」何度も反芻しながら、また映画館に行きたいと思います。
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