2月15日公開の映画「半世界」、公開に先立って主要ロケ地である南伊勢町にて特別試写会が行われました。私にとっても大変印象深い出来事でしたので忘れないうちにその日のことを記しておこうと思います。
その試写会の招待状は前年の12月下旬に届きました。映画の公開が待ちきれず、東京国際映画祭(2018年10月25日~11月3日開催)に行こうかと密かに画策していた私は(結局その作戦は仕事の都合で断念)飛び上がって喜びました。これで1日でも早く映画を観ることができる、とウキウキしながら会場である南伊勢町町民文化会館への経路を調べます。これは…
松阪から車で小一時間。しかしこんな長距離を運転して行って帰ってくる自信はありません。電車ではどうだろう?特急とバスを乗り継いで1時間半。しかし電車もバスの本数もかなり少ない。迷っていたところ運転を買って出てくれた同行者がいたので車で行くことにしました。ほっ。
試写会当日1月26日はとても寒い日でした。お昼すぎ曇天の中出発、雪が降るかもね、などと話していたところ案の定、明和を過ぎたあたりでチラチラと雪が舞い降りはじめます。県道169号線通称「サニーロード」を走ると左手に田丸城跡への分岐が現れました。田丸城跡には数年前に「川口呉川展」を見に訪れたことがありここから先は未知の領域、初めて見る景色ばかりです。
南伊勢町といえば海!のイメージが強かったのですが、そこにたどり着くまでは峠を超えていかねばなりません。両脇に真っ直ぐ伸びた木々が迫る山道は、降る雪のせいか古里新潟を思い出させます。美しい山の風景に見惚れているといつの間にか町に。眼前に青い海、そして赤い灯台。なんて綺麗なんだろう…と思いながら来し方を振り仰ぐと三角形の山の上に大きな鳥居が見えました。
海、赤、鳥居…一瞬「赤い蝋燭と人魚」の舞台に紛れ込んだような錯覚を覚えクラクラします。無論あのお話は小川未明の古里でもある新潟のとある浜の言い伝えが元になってるのは承知しておりますが、背後に迫る山、凪の海、勢いを増す雪に煙る町があまりに物語的でまるで別世界…
このように初めて訪れた南伊勢町は懐かしくも印象的で、近年映画のロケ地に多く選ばれるのもむべなるかな、そこに立つ人の想像力を掻き立てる不思議な町でした。
さて。前置きが長くなりましたね。開場の時間も迫ってまいりましたので、次はいよいよ試写会のお話を。つづく。
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