願はくは花の下にて春しなむ
そのきさらぎの望月のころ
あっという間に桜が満開になり、こんどはその桜が
『しづこころなく』散っていきます。
すっきりとした春の青空の中、ほとんど白に近い
桜の花びらがはらはらと散るのをみていると
何故か西行のこの歌が浮かんできます。
松阪が生んだ国学の大人本居宣長は山桜をとても
愛しており、その墓に山桜の木を植えるよう指示しました。
(宣長の奥墓は八千代からおよそ車で30分の山室山
にあります)
松阪に縁のある作家梶井基次郎の「桜の樹の下には」
という短編はこのような言葉で始まっています。
『桜の樹の下には屍体が埋まっている!
これは信じていいことなんだよ。
何故って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて
信じられないことじゃないか。』
桜の樹の下で最期を迎え、桜の花の下で眠りたい。
そしてその桜の下には屍体が埋まっている。
満開の桜と舞い散る花びらは密かな妖気を孕んでいて
人にそう思わせるのかもしれません。
殿町の桜。
松阪神社の桜。
松阪城址の桜。
このほかにも、阪内川の川沿いの桜並木もそれはそれは
見事です。観光協会にはレンタサイクルがあるので自転車で
足を伸ばしてみるのもいいと思います。
…とはいえそろそろ桜も終わりかな。
桜の次は松阪城址公園の藤の古木が見事に花を咲かせることでしょう。
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