八月最後の日曜日、「第22回松阪薪能」が松阪公園野外音楽堂にてとり行われました。
日が落ちると辺りは秋の気配につつまれ、篝火のぱちぱちと火の爆ぜる音に混じり秋虫の声が聞こえてきます。夕闇に浮かんだ美しい能舞台。私は午後7時過ぎに行くことができました。
舞台ではすでに狂言「痩松」が始まっていました。「やるまいぞ、やるまいぞ」の声と共に会場が笑いに包まれます。途中からでしたので状況設定などが良くわからなかったのですが、思いのほか台詞を聞き取ることができたので最初から観たかったな、と残念でした。次はいよいよ能「鞍馬天狗」です。
実はお能を観るのは今回が初めて。素の状態で観たかったので事前に何も勉強して行きませんでした。頓珍漢なことを書いていたらすみません。素人の感想文とご容赦下さい。
舞台下手に登場口と渡りがつくられています。五色の布がさっと引かれるとそこから山伏が登場。おそらくこの山伏が鞍馬天狗なのだろう、と思いながら。登場第一声。低くくぐもった、しかし地を震わせるような静かで且つ力強い声が舞台に響き渡ります。その瞬間ここが城跡であることを忘れさせ異界に引きずり込まれます。
その後舞台に子供たちが登場します。公募した市内の子供たち。恐らく能舞台に立つのは初めてなのでしょう。すり足も立ち振る舞いも舞台の空気を壊さぬよう一生懸命努めているのが判ります。着慣れない能のお衣装を着けてここまでやるのはとても大変です。さぞ沢山の練習を積んだんだろうなと感心しました。
それにしても衣装の美しいこと!ため息がでます。
宴席(?)のようだったのですが「何故ここに山伏が?無粋な・・」というようなやり取り話の後興をそがれたのか、一人の少年を残して皆去ります。舞台には山伏と少年が残されます。「紗那王」という台詞にこの少年が牛若丸(後の義経)であることがわかります。この牛若丸役の少年は声はまだ初々しく細い印象でしたが、この後ろから見た立ち姿が非常に凛々しく素敵でした。高貴の少年らしい美しさが漂っていました。
この後2人とも一旦舞台から去ります。
次に登場したのは…独特の装束と面の人物。この方も天狗のようですが…台詞を述べたあと去ります。そのあとに先ほどの紗那王が今度は長刀を持った凛々しい姿で現れます。
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