三重県立美術館にて開催中の【川喜田半泥子のすべて展】に行ってまいりました。正直に言うと絵画や写真、書などの展覧会には行ったことがあるのですが「陶芸」はまったく初めて。私に理解できるのだろうか?と少々緊張しておりました。

場内は撮影禁止だろうと思いましたのでデジカメは持参せず。館内で購入した絵葉書の写真をアップします。

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こちらはパンフレットに載っていた粉引茶椀「雪の曙」。

パンフレットの写真でも乳白色と薄いピンクのなんともいえない愛らしさが目を引きましたので、実物を見るのが楽しみでした。想像通り。思わず「カワイイ…」とつぶやいてしまいました。こんな色をどうやって出すんだろう?とても繊細な色合いで、触るとほろっと崩れる粉雪のようです。

私は雪国新潟の出身なのですが、そこは新潟の中でも豪雪地帯に位置し冬の間はもう一日中雪が降っておりました。私が高校生の頃は毎年積雪記録を塗り替えていた程です。明け方に厚い雲の隙間から朝日が差して辺りを桃色に染める、なんてことはありえません。どよんとした灰色の低い雲から絶えずぼたん雪がぼとぼと落ちて、朝からたっぷりの雪の中をざくざく踏み分けて登校しておりました。

松阪に嫁いで驚いたのは冬に雪が降らないこと。もう10年になりますが、雪の朝は一日だけ、と記憶しています。その日は夜中から外からの物音がぱたりと止み、明け方に薄いカーテンから柔らかい光が差し込んで『しん、しん、』と雪の音が聞こえてきます。もしかして?と思いカーテンを引くと辺りは雪景色。

雪の降る音を「しんしんと」と形容しますが、本当にそのような音がします。でもその音は耳には聞こえません。「しんしん」という気配を肌に感じるのです。そのときは私もまだ雪国の記憶を失っていないのだな、とちょっと懐かしくなりました。

薄い雲の隙間から陽光が差し込んでいます。同じ雲でも雪国の雪雲とは雲の種類が違うようです。雪国の雲は厚く太陽を遮断します。でも松阪で見た雪雲はふんわりと太陽の光を透かして見せてくれました。その光が雪に反射してなんとも優しい景色が広がります。

半泥子は三重の人なのだな。私と見ている雪が違う。

さて、ずいぶん話しがずれてしまいましたが。半泥子の作品は銘が面白いです。お茶わんを見て、それから銘を読むと思わずふふ、と笑みがこぼれてきます。

それから驚くのがこれ。

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読めますか?『波和遊』-は・わ・ゆう How are you?

緊張して入った美術館でしたが、至る所に『くすっ』があって非常に楽しい展覧会でした。半泥子さんに、まぁま、そんなに緊張しなさんな、と言われているようで作品を見れば見るほどリラックスしていくという不思議なひと時でした。それがかの人の「器」なのでしょうか。

開催は7月25日(日)までです。

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