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故郷の酒とDISCOVERING SAKE

日本酒の銘柄を見直すとなった時に、私の頭の中に浮かんだのは故郷の地酒でした。私は新潟の糸魚川というところで育ちました。海沿いの町ですぐ後方には北アルプスが控えていて、海→川に挟まれた平野→山という地形の小さな町です。嘗ては新潟でも豪雪地帯に数えられていた所で(今は昔ほどは降らないようですが)とにかく水には恵まれていました。雪解けの清らかな水が深い谷を走り清流となって海に帰る。水の旨いところには旨い米が育ち旨い酒ができ。そんな土地です。

幼いころからと書いてしまうと問題があるのですが、私は糸魚川の日本酒が大好きでよく呑んでいました。よく知っているから自信を持って薦めることができますし、何より扱う理由ができます。

三重の松阪の八千代に新潟の酒が置いてあるのは不自然ですよね。どちらかと言えば店の料理にあったお酒を厳選して置きたいと考えているので、全国津々浦々の日本酒を集めました!というほど銘柄を揃えるつもりもありません。でも糸魚川のお酒であれば「女将の故郷の酒です」という物語ができるので寧ろ話題を膨らますこともできます。

そんな時、Facebookで流れてきた投稿で「根知男山」が今とても評価が高いと知りました。私が大学生の頃、新潟出身だというと「美味しい日本酒教えて」と聞かれることがしばしばあり、私はそこでいつも「謙信」と「(根知)男山」と答えておりましたが、知っている人はまずいませんでした。地元では好まれていたお酒でしたが、全国的な知名度は今ひとつ。それがどうして?

一つには近年続いている吟醸ブームで日本酒に対する関心が継続して高まっているということ。そしてなによりブームと並行してインターネットの普及が進んだこと、これが大きいのではないでしょうか。地方の小さな蔵元でも評判が高まればあっという間に情報は世界中に広がります。その上、欲しいと思えばネットショップで気軽に手に入れることができるのです。

「根知男山」の蔵元渡辺酒造店さんはインターナショナル・ワイン・チャレンジの日本酒部門の最優秀賞Champion Sakeに選ばれたそうです。(受賞銘柄「nechi2008」)

受賞のニュース【新潟などの5銘柄最優秀賞 国外最大の日本酒品評会】

こちらはその表彰式の様子。

この表彰式の動画を探していた時に、別の面白いものを見つけました。どうやらディスカバリー・チャンネルで作られたドキュメンタリーのようですが…??? 

それがこのDISCOVERING SAKEという動画です。

こちらに「根知男山」も登場します。蔵元の渡辺酒造店さんは「テロワール」にこだわった日本酒を作っているそうです。自らを「ドメーヌ(生産者)」と呼んでおられます。この2つはワイン用語で、日本酒でテロワールを語る蔵元さんに私は初めて出会いました。

では「テロワール」とはなんでしょうか。一言で表せる日本語はないように思います。その土地の、土壌、空気、水、太陽、風、雨、そして人。作物を育む全ての環境。それは私が遠く離れて懐かしく思い出す「ふるさと」そのものでした。だから私には糸魚川の酒は美味しいのです。

日本酒-SAKE-を売るということ。それは日本酒という文化を売ること。日本酒という物語を売ること。これは私の仕事にも深くつながっています。海外から見たSAKEの魅力。日本の魅力。この動画にはヒントが沢山ありました。

さて。前置きが随分長くなりましたが。笑。早速「謙信」と「根知男山」を入手、試飲の上、試験的に販売してみました。驚くべきというか当然というべきか。「謙信」も「根知男山」もご存知のお客様が複数いらっしゃってすぐ完売しました。お好きな方というのは本当に何でもご存知です。

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情報を欲している人に情報を伝える。

これだけ情報が氾濫していてもそれをマッチングさせて効果を上げることはなかなかできません。私ができるのは、情報を発し続けること。そして見つけてもらうこと。

日本酒を模索していただけなのに、いろいろなことを考えさせられました。

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  1. 丸山 健 2014.10.04

    故郷の地酒を松阪の旅館ブログで知るとは驚きました。謙信は、実家で毎日飲む酒。男山は、今の社長がまだ専務の時に、取引したくて営業に行った蔵元です。その2つの名前を知ることができてとてもうれしいです。また糸魚川の紹介もブログでして頂けたらいいいですね。

    • 女将@八千代 2014.10.04

      丸山様、コメントありがとうございます。

      松阪と糸魚川ではなかなか交通の便が悪く、更に白鳥やサンダーバードなどちょうどいい特急が次々と無くなってしまうので困っています。

      「謙信」は二級酒(当時)が父の晩酌酒で、私も毎日のように呑んでいました。(何歳の時とは聞かないで下さい)父方の親戚の集まりでは「男山」母方の集まりでは「月不見の池」が定番でした。

      なかなか糸魚川に帰れないので里心がついて糸魚川の話をする時はついつい力が入ってしまいますが、あまり続けると社長に叱られるのでほどほどに。また機会があれば御風や翡翠のことなども書いてみたいと思います。